子がいない場合の遺産分割について

2023年2月25日

信託の利用による後継遺贈

遺言は、遺言者が亡くなった際の相続を指定することができますが、さらにその財産を相続させた人が亡くなった後の財産の行方までは、指定することができません。
例えば、夫が「実家は妻に相続させ、妻が亡くなった際には、その実家は自分の弟に相続させる」と遺言に書いても、妻の相続に係る部分に遺言の効力はありません。
先祖代々の夫の系統である財産が相続順位や相続開始の先後によって、妻の家系、つまり姻族の系統に異動してしまいます。
そこで、このような場合に信託の活用が考えられます。信託契約で、「受益者の自分が亡くなった場合の第二受益者は妻に、そして信託修了後の残余財産の帰属権利者を弟に」などと記載します。
信託されたときから30年を経過後に新たに受益権を取得した受益者が死亡するまでまたは当該受益権が消滅するまでという期間制限に気を付ければ、自分の兄弟姉妹が既に死亡しているならその子である甥姪やその先というのも考えられるでしょう。

信託は、公正証書でなければならないという決まりはありませんが、大きな権限の異動をともなうため、公正証書が望ましいといわれています。また、課税関係も複雑で、書き方によっては受益者が多額の税金を払うはめになることもあるため、契約は慎重に、専門家の助けを借りる必要があるでしょう。

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