外国人の遺言について

2023年2月25日

遺言方式については日本の民法が適用されるか

在日外国人が日本でする遺言については、遺言の方式の準拠法に関する法律2条により日本の民法の方式によることができます。つまり、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の方式に則って行うことができます。

遺言方式以外は本国法が原則

しかし、遺言の方式以外の遺言能力等の要件については、法の適用に関する通則法37条1項で遺言者の本国法が準拠法になります。なお、相続に関しても同法36条で遺言者の本国法を準拠法と規定されているので、在日外国人の公正証書遺言を作成するには、まず当該外国人の本国法の規定を調べることが必要になります。

法の適用に関する通則法41条:当事者の本国法でよるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。

韓国人の例

韓国人の相続については原則として韓国民法が適用されます。しかし、在日外国人が明示的に常居所がある日本の法律を指定するか、不動産が日本にある場合に不動産に関する相続に関しては日本の法と指定した場合は相続は日本法によるとしています。

中国人の例

中国では、遺産の法定相続については、動産は被相続人死亡時の居住地の法律を適用し、不動産は、不動産所在地の法律を適用すると規定されています。したがって、どちらも日本の民法を適用することになります。

ベトナム人の例

ベトナム人の遺言・相続は、「死亡の直前に国籍を有していた国の法令に従う」と規定されていますので、ベトナム民法が適用されます。

フィリピン人の例

フィリピン人の遺言については、「遺言作成国、遺言者の居住国または国籍のある国、またはフィリピンのいずれかの法律に照らして有効な遺言であれば有効なものとしてこれを取り扱う」こととされていますが、他方、相続手続についてはフィリピン民法が適用されます。

台湾人の例

台湾人の相続は、被相続人の死亡の当時の本国法の規定によるとされていますが、他方、遺言及びその撤回の方式は日本の法により行うこともできるとし、不動産の遺言は不動産所在地の法律を適用すると規定されています。

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