2022年4月1日「成人年齢の引き下げ」で「遺産分割協議」が変わる

2023年2月25日

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、文字通り遺産の分け方を決める相続人間の話し合いです。遺言書が存在していない場合に行われます。遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、未成年者や認知症の方などが相続人である場合には、親権者や成年後見人、特別代理人などが相続人の代わりに遺産分割協議に参加します。

未成年者は親権者でいいの?

このように書くと未成年者は親権者で事足りるように思いますが、必ずしもそうではありません。たとえば父が死亡して、相続人が母と未成年者の子がいる場合、遺産分割協議において未成年者と母との間で利益が相反してしまうため、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しなければなりません。特別代理人は、相続の当事者でない成人であれば誰でもなることができます。そしてこの場合、特別代理人がその未成年者に代わって遺産分割協議を行うことになり、未成年者は遺産分割協議に参加できません。

「利益相反行為」…当事者の一方の利益が、他方の不利益になる行為のこと。ここでは、母が多く遺産をもらえば子の遺産は少なくなるという関係のこと。遺産分割協議の際に親権者が子を代理することは民法で禁止されている。

民法改正で2022年4月1日以降は

この状況が一変します。すなわち、成年年齢を20歳から18歳に引き下げることを内容とする「民法の一部を改正する法律」が2022年4月1日から施行されることによって、改正前は20歳以上でなければ遺産分割協議に参加できませんでしたが、2022年4月1日以降であれば、同日時点で18歳以上の相続人は遺産分割協議に参加することができるようになります。

遺産分割協議は事実上10カ月以内

遺産分割協議には期限が定められていませんが、一方で相続税の申告と納付の期限は相続開始を知った日(通常は被相続人が死亡した日)から10カ月以内と決まっています。期限内に相続税の申告が難しい場合、特例などの税制上の優遇措置を使うことも難しくなることから、遺産分割協議は10カ月が一区切りと考えます。となると、

たとえば、2021年6月30日に亡くなられた方の相続人に18歳の子がいたとします。相続税の申告期限は10ヵ月後の2022年4月30日ですので、2022年3月31日までに遺産分割協議書を作成するためには、特別代理人の選任が必要ですが、2022年4月1日まで待って遺産分割協議書を作成するのであれば、特別代理人は不要で、子本人が遺産分割協議に参加することが可能となります。

2022年4月1日「成年年齢の引下げ」…相続税申告はどう変わる?ひと足早く税理士が解説

いかがでしょうか。成年年齢の引き下げにより、2022年4月1日を境として多方面に影響が及びます。注意が必要です。

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