不動産登記義務化について

2023年2月25日

報道がありました

2月20日、不動産名義を変更する相続登記の義務化を前に、女優の高橋惠子さんが、「促進親善大使」に任命されたとの報道がありました。また、2月14日には政府インターネットテレビ「なくそう所有者不明土地~相続登記等の申請が義務化されます」が掲載されました。

所有者不明土地関連法の成立

令和3年4月21日に所有者不明土地関連法が成立しました。これは、所有者不明土地の発生予防と利用の円滑化の両面から総合的に民事基本法制を見直すものでした。所有者が亡くなったのに相続登記がなされないことで、登記簿を見ても持ち主が分からず、復旧・復興事業等や取引を進められないといった状況を改善するための政策の一つとして導入されました。
導入の柱は大きく3つあります。

  1. 登記がされるようにするための不動産登記制度の見直し
    ①相続登記の申請義務化
    ②住所等の変更登記の申請義務化
  2. 土地利用に関連する民法の規律の見直し
    ①財産管理制度の見直し
    ②共有制度の見直し
    ③相隣関係規定の見直し
    ④相続制度の見直し
  3. 土地を手放すための制度の創設
    ①相続土地国庫帰属制度の創設

です。そのうち、私たちに大きく関連してくるのが、令和6年4月1日から始まる「相続登記の申請義務化」です。厄介なのは過去にさかのぼって適用されることでしょうか。施行日前に相続の開始があった場合についても適用されます。制度スタートから3年間という猶予期間はありますが、正当な理由がないのに、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請をしないと、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。関係者が多くて必要な書類を集めるのに難しい場合などは罰則の対象にならないとされていますが、強制されることに変わりありません。それに、不動産の相続登記はただではありません。登録免許税というれっきとした税金がかかります。登録免許税の計算式は下記のとおりです。

登録免許税額=不動産の固定資産評価額×税率

くわしくは、税務署にお問い合わせていただきたいのですが、固定資産評価額は、固定資産税を決める際の基準となる評価額のことで、5月初旬に市区町村から送られてくる固定資産税・都市計画税 納税通知書に掲載されているあの課税標準額です。そして、土地の税率は0.4%、建物の税率は0.1%~0.4%とされています。決して少なくはない金額ですよね。国も、不動産の相続登記が自分が相続人だとわかる戸籍謄本の添付して申し出るだけすむ新しい申請制度の導入や、一定の場合は登記費用の軽減を検討しているとのことです。
同じく、「住所等の変更登記の申請義務化」もそうです。施行日はまだ決まっていないようですが、所有権の登記名義人が住所等を変更した場合、その住所等の変更日から2年以内に変更登記を申請しなければならなくなります。ともすれば忘れてしまいそうですが、正当な理由がないのにその義務を怠った場合は5万円以下の過料の制裁を受けます。

行政書士が立ち入れない領域ですが

登記自体は行政書士が立ち入ることのできない領域ですが、空き家の相続人調査等の事務処理を行う専門職嘱託職員を行政書士会に推薦依頼する市区町村もちらほらとではじめてきています。相続登記の申請義務化施行日、令和6年4月1日を見据えて、土地利用に関連する民法の規律の見直しは令和5年4月1日、土地を手放すための制度の創設は令和5年4月27日が施行日となっており、国及び地方公共団体もその体制づくりに忙しいようです。私たちも先のことととらえずに、今から準備しておくべきではないでしょうか。

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