公正証書遺言と自筆証書遺言の違い
※2021年4月15日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2023年7月6日に再度公開しました。
公正証書遺言と自筆証書遺言の違いをまとめてみました
動画による解説
内容(動画音声を一部修正しています。)
みなさん、こんにちは。行政書士の新保吉宣です。いまから公正証書遺言と自筆証書遺言との違いを説明したいと思います。
まず前提として自筆証書遺言とは言葉の通りすべて自分で書いた遺言書のことを言います。そして、公正証書遺言とは、遺言書に書かれた内容を公証役場の公証人が保証した遺言書のことを言います。
つまり、自筆証書遺言は書かれた内容によっては、あなたがなくなってから無効と分かって台無しになるケースがあるのに対して、公正証書遺言はその遺言書の効力に公証役場がお墨付きを与えた遺言書ですのでそういうことはありません。
ここで画像を見てください。これは、公正証書遺言と自筆証書遺言の手続きをフローチャートにしたものです。ピンク色の四角の枠は、あなたもしくは相続人がしなければならない工程を示しています。
一目瞭然、工程が一番少なくて済むのは自筆証書遺言です。ただしこれはあなたが、遺言書を民法で定められた方法に従って、すべて自分で書くことから始まっています。すべて自書することも大変ですが、一番重要なのは民法で定められた方法に従っているかどうかです。これを誤るといくら工程が少なくなっても全く意味がないことになります。
自筆証書遺言は、自分で遺言書を書いて自分で保管しておき、あなたが亡くなってから相続人が家庭裁判所に対して遺言書の検認、つまり「これは本当にあなたが書いたもの、偽造ではない」ということを確認してもらうことが必要になります。
この検認については、自分で遺言書を書いてそれを法務局に保管してもらう自筆証書遺言保管制度を使えば回避できます。この方法は、「公的機関が保管するのだから偽造などはありえない」ということで、遺言書の検認は要らないのです。すぐに遺産分割に進めます。ただし、遺言書を法務局が保管してくれるだけのことで、前に述べたように有効かどうかの担保がないので、金融機関等に不備を指摘されたらいざ遺産分割をしようとしてもその遺言書では金融機関等では受け付けてもらえません。
この危険を回避してくれるのが公正証書遺言です。しかし、これを自分だけでやろうとすると見ての通り大変です。しかし、これを行政書士などの専門家に依頼すると、その専門家のとの打ち合わせと、遺言書作成日に公証役場に出向く2つの工程だけで済むのです。
このように、手間がかかる工程は専門家に依頼することでカバーされ、一般的には公正証書遺言がどの方にも最適と言えます。ただし、あえて自筆証書遺言を選択した方が良いケースもあります。例えば、あなたが病弱で、公証人に自宅、病院、老人ホーム等に来てもらったとしても、体力的に長時間公証人と面談することは不可能に近い場合は、自筆証書遺言も選択すべきでしょう。遺言書は一度に書き上げてしまわないといけないわけではないので、毎日少しずつ書いていくことが可能です。そして、その遺言書が民法で定められている方法に従っているかどうかを行政書士などの、専門家に依頼することで無効となることは防げます。
これで終了です。ご清聴ありがとうございました。